小数の強法則(Strong Law of Small Numbers)という、小さな数の範囲で起きる現象がそのまま全ての数にあてはまるとは限らない、という法則があります。
1)2)(元の表現では、"There aren't enough small numbers to meet the many demands made of them.")
例えば、1, 3, 5, 7 と、7以下の奇数を見て、奇数は全て1か素数である、と予想するのは明らかに間違いです(9は合成数)。
過去の偉大な数学者たちでも、小さな数の範囲から考えた予想が間違っていたことがあります。
■ フェルマーの例
フェルマーの最終定理で有名な数学者フェルマーは、F
n = 2
2n+1 は、素数になると予想しました。(F
n は、フェルマー数と呼ばれます。)
n=0,1,2,3,4 では、F
0 = 3, F
1 = 5, F
2 =17, F
3 = 257, F
4 = 65537 は素数になります。
この後は、F
5 = 4,294,967,297、F
6 = 18,446,744,073,709,551,617, ... とすごい勢いでフェルマー数は大きくなりますが、フェルマーはこれらも素数であると考えました。
しかし、フェルマーの予想から約90年後、オイラーは、F
5 = 4,294,967 が、641×6,700,417 と素因数分解されることを示しました。さらに、今のところF
5 以降で素数であるフェルマー数は見つかっていません。
■ オイラーの例
オイラーは、n乗数は n個未満のn乗数の和では表すことが出来ない、という予想を立てました。
n=3の場合は、x
3+y
3=z
3を満たす自然数x,y,z(≠0)が存在しない、という問題になり、このようなx,y,zは存在しないことが証明されています(フェルマーの最終定理の一部)。
オイラーは、nは4以上でも同様に、
x
4+y
4+z
4=w
4となる自然数x,y,z,w や、x
5+y
5+z
5+w
5=v
5となる自然数x,y,z,w,v、(以下同様)が存在しないと考えました。
しかし、オイラーの予想から約200年後の1966年に、n=5 の場合に、 144
5=27
5+84
5+110
5+133
5 という反例が見つかりました。
1988年には、n=4の場合でも、422481
4=95800
4+217519
4+414560
4 という反例が発見されています。
これらの例は、小さな数の性質から全体を推測することの難しさを教えてくれます。
下に他の例をいくつか挙げてみました。
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posted by sushi at 01:59|
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